土曜日の早朝、目覚めたと同時に、いよいよ僕達の九州大会への挑戦が始まった。初戦はゆのき戦だ。試合開始と同時に誰もが気付いた。いつもの草ヶ江とは違うと…。チーム全員が精一杯声を出して、チーム全員が躍動していた。練習でやってきた事を発揮する事ができて、見事勝利した。続く二試合目の大分戦も、みんな気持ちを切らす事なく全力で戦い、勝利した。

そして、全国へ行くチャンスを掛けた三試合目の延岡戦。みんなの心はすでにひとつになっていた。前半が始まり先制点を奪われたが、みんな全力で戦い、2トライ差で後半へ折り返した。後半が始まり1トライを取り、3点差まで詰め寄った。しかし、その後連続トライを決められてしまった。しかし、みんな気持ちが切れる事はなかった。そしてラストワンプレイの合図の音が鳴ったが、みんなあきらめる事なく、ラストワンプレイでみんな死ぬ気で戦ってトライを取ることができた。大戌のキックも決まったが差は縮まらず、ここで試合終了となった。

僕達の全国への道が途絶えてしまい、全国へ行く権利は手に入らなかった。みんなたくさん泣いた。自分達の目標が達成できなかった。全国へ行くという目標が…。そして迎えた二日目。全国は無理だが「今日勝てば九州ベストエイトだ」と2位リーグに臨んだ。相手は強豪大村・日向。試合前、円陣で「いつも通り」「いつも通り」という言葉がたくさん飛び交った。僕も「この試合、最高にenjoyしようぜ」と言った。みんなの気持ちは昨日以上のものになっており、この六年の中で一番の気持ちだった。

そして大村戦が始まった。大村のFWの当たりとBKの展開は見事だった。だが、みんな心を折ることなく、全力でプレイをしていた。後半、いよいよ僕の出番だ。すると海斗が「あとはたのむ…」と言ってくれた。僕も海斗の背中を軽くたたき、グラウンドに行った。そして海斗が全力でチームを引っ張ってくれたように、僕も最初から大きな声を出し、プレイでもチームを引っ張った。

そしてみんなも、まるで前半に応えるようなプレイで差を縮めていった。ラスト5分になり、9点差でヤンボール。大村を全力で止めてボールをうばい返し、FWもBKもそれぞれできることを精一杯出し、トライが生まれた。キックも決まり残り3分、2点差でむかえたマイボール。僕は全力で当たり、ボールを仲間にたくした。相手もすごいタックルをしてきた。だが、みんなひるむことなく攻撃をした。するとボールが繋がり、逆転トライが生まれ、キックも決まった。ラストワンプレイ、みんな全力で戦い、最後は僕達がボールを蹴り出し勝利した。僕は信じられなかった。そして思った。「出し切った…」と。

この大村戦では大切な事を学んだ。それは「一人一人が練習通りのプレイを全力でやり切れば、必ず良い結果がついてくる」という事だ。いつも先生が言われていたが、この言葉がどれだけ大切かを知ることができた。そして九州大会最後の試合、日向戦が始まった。僕は大村戦で学んだことを心に刻んで試合を観ていた。前半開始時、僕は感じた。チーム全員が一丸となり、練習でやってきた事を発揮している。そして後半、僕は海斗と試合に出た。海斗とは四年生から一度も一緒のチームになった覚えがなかったので、一緒になれてうれしかった。そして日向戦にも見事に勝利し、僕達の六年生の大会が終わった。

この大会を通じて「enjoy」「120%」と先生がなぜ言ってきたかが、やっと分かった。「enjoy」は全力で戦って笑顔になること。「120%」は自分の力を最大限に発揮すれば、自然に自分の力以上のものが出るということだ。この経験を活かして中学でもenjoyラグビーをしていきたいです。また先生方、お世話になりました。中学でもよろしくお願いします。

6年チーム森田　目原 庚之佑